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名前を教えてくれない悪魔との契約
魔法世界マギリシアが舞台。プレイヤーは召喚士として、幽界から悪魔を引きずり出します。契約の内容はシンプル。こちらは自分の名前を差し出すのに、悪魔からは何ももらえません。名前すらも。仕方なくデビルンという名を押しつけられた彼は、マギリシアの人々を召喚しては怖がらせて魔力を集め、本来の姿を取り戻そうと企みます。
悪役の仕事に聞こえますし、実際その通り。でもデビルンはというと、怪物というより小悪童で、彼をめぐる物語は征服なんかよりずっと柔らかいものについての話だと分かってきます。怠け者の小さな悪魔のコメディとして始まった物語は、想像もしない場所にたどり着きます。そこへ行くには、まず大量のエンディングを経験しなければなりません。
心を読んで、間違った言葉を正しく選ぶ
召喚された人にはそれぞれ感情のオーラがあり、それを魔力に変換するのがデビルンの食事です。コツは、二択のうち相手の感情をうまく揺さぶる方を選ぶこと。当てずっぽうでは賭けになるので、デビルンの特殊能力の出番です。イービルアイサーチを使えば、相手の心の中を直接のぞいて思考を読めます。
ここが一番楽しいところ。正解がその人の頭の中にそのまま転がっていることもあれば、口が裂けても言わなそうな本音や、理解したつもりだったキャラの意外な一面が見つかることもあります。悪い選択だと分かっていても、どうなるか見たくて押してしまう。それがこのゲームの精神そのものです。
三十以上のエンディングとセーブ&ロードの魔法
間違った選択をすると、その場で物語が終わることがあります。ペナルティではなく、それこそが狙いです。このゲームは三十以上ものエンディングを抱えていて、トゥルーエンドにたどり着くには、まずいと分かっている選択肢も含めてあらゆる可能性を掘り起こすしかありません。
ゲームもそれを隠しません。反応が見たくてモラルに反する方ばかり選び、それでいいのかと自問する。悪魔と一緒に、探究のために悪いことをする。それがこのゲームの核となるループです。セーブとロードこそが本当の魔法書。巻き戻し、別の言葉を試し、エンディングをもうひとつ集める。一周ごとにキャラクターたちとデビルンについての何かが分かり、真実へ一歩近づきます。
全員の顔が動くビジュアルノベル
ストーリー第一のゲームです。読んで、選んで、キャラクターたちが物語を運んでくれます。召喚できるのは三十人以上で、それぞれ個性と悩みを持ち、表情はすべてフルアニメーション。デビルンが拗ねたり、にやりと笑ったり、うろたえたりする姿を目の前で見られます。キャラの体をつついて小さな反応を楽しむこともできます。
絵はかわいく、音楽はかわいいのにゴシック。コメディと重い話がせわしなく切り替わる魔法世界にぴったりです。注意点として、一部に成熟した表現があり、シナリオには個人作者の好みがぎっしり詰まっています。会話中心の文章であることも、作者の自慢のひとつです。



















